グルタミン多量摂取の問題点

 グルタミンの免疫力増強効果は容易に確かめることが可能である。錦栗耕元は風邪を引いたと感じたときにはグルタミンペプチド10グラムほどを湯に溶かして飲むことにしている。まだ咳の出る前であれば確実にまでとはいかないが治る場合が多い。グルタミンペプチドはネットで調べれば容易に手に入れることが可能であるが,グルタミンペプチドがないときはパスタを食べることでグルタミンを摂ることができる。パスタはグルタミン含量が高い強力粉でできているので肉をたっぷり乗せたスパゲッティなどは効果が大いに期待できる。風邪をひいたときには是非試していただきたい。

 ところで一般に年寄りのがんは進行が遅く若い人のがんは進行が速いと言われている。これは若い人では筋肉も発達していて食事量も多いので血中グルタミン濃度も高いが,年寄りは筋肉も衰えていて食事量も少ないためにグルタミン濃度が低いからである(グルタミン生成への筋肉の関与については10月3日の本ブログ参照)。グルタミン濃度が高ければ免疫力は強くがんにはなりにくいが,一旦がんが生じるとその成長速度は速くなる。一方,グルタミン濃度が低い老人では若い人に比べてがんが生じやすいがその成長は遅い。このことはがん組織を持っている人が血中グルタミンを上げるような食事あるいはサプリメントを摂ることは免疫力強化によってがん細胞を退治してしまうことも期待できるが,逆にがん細胞の増殖が促進される危険性もある。このようにグルタミンには「諸刃の剣」の面があることは認識しておかなければならない。