野鳥のオス

 大阪地方では今冬は冬鳥の来訪が例年に比べてかなり少なく楽しみの少ないシーズンでした。原因として昨年9月の台風21号によって山が荒らされたこと,あるいは温暖化で冬鳥が例年のようには南下しなかったことが考えられますが,台風で荒らされなかった他の地方の様子が分かればもう少しはっきりするかもしれません。そんな中で私が最も美しいと思っているルリビタキのオスの写真がやっと撮れました。何回も足を運んで目指す写真が撮れたときは本当に嬉しいものです。

 人間の社会では女性がきれいですが,鳥の社会ではオスがきれいです。下の写真は左がルリビタキのオスで,右がメスです。ルリビタキのオスは背中がブルー,わき腹が黄色で本当にきれいです。鳥のオスがきれいなのはメスがオスを選ぶから,オスは目立つようにきれいな姿であるそうです。私の回りの友人を見る限りでは多くの人が女性に振られているので,人間社会では男が女性を選んでいるとは思えませんが,なぜか女性がきれいです。鳥のオスにはペニスがないので交尾するにはメスがその気になって肛門を上に向けなければなりません。そこにオスが肛門を接して交尾をします。鳥は空を飛ぶためにできるだけ軽くする必要があります。そのためには体内で生じた余分な窒素を尿として排泄しないで,水に溶けにくい尿酸にして固体として肛門から排泄するので小便をする器官が無いのです。したがってオスはメスをその気にさせなければ子孫を残せません。そのためにきれいな姿をしています。ただ,いつもきれいにしていると天敵にやられる可能性があるので,鳥によっては繁殖期にのみきれいになるものもいます。鳥の中にはメスと同じような姿をした美しくないオスもいます。そのようなオスはきれいな声で鳴くことでメスの気を引こうとします。メジロ,ウグイス,ヤマガラ,シジュウガラ,ミソサザイなどです。天は二物を与えずと言いますが,これは鳥の社会にも通じます。こうしてみると天は公平のようですが,鳥の中には一物も与えられていないものもいます。スズメ,カラス,ヒヨドリ,ドバトなどです。これらは鳴き声もきれいでなく,姿も美しくありません。このような鳥は繁殖力が強いので一物も必要としないのでしょう。何の魅力もないように思われる者が最も繁殖力が強いとは人間から見たら羨ましい世界です。

 

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