大阪維新の会の大阪都構想

 

 大阪維新の会は二重行政解消のためと言って大阪都構想実現を実現しようとしている。この構想は過去に行われた住民投票ですでに否決されているが,その後の知事・市長選挙で維新の会の候補が勝ったことから支持を得たと勝手に解釈しているようである。今回,統一地方選挙で維新の会とその同調者を増やして大阪都構想住民投票に持ち込みたい意向であるようだが,この維新の会のやり方には問題を感じざるを得ない。

 大阪府知事大阪市長は辞任して選挙までして都構想を実現したいと言うなら,大阪府大阪市の行政にはどのような二重行政の問題があり,それらは市と府の話し合いではどうしても解決できないことを明示する必要がある。このことをしないで都構想を押し通そうとするならば都構想は二重行政の解消が目的ではなく,都構想それ自体が目的であると言われても仕方ない。

 国と都道府県,市町村がある限り二重行政の問題は必ず起こり得る問題である。制度を変えて大阪都にしてもまた新たな問題が起こるであろう。松井府知事と吉村市長は二重行政解消のための話し合いを真剣にしたのであろうか。今までに維新の会の松井知事と当時の橋本市長が二重行政解消のためにやったことは住吉市民病院と府立急性期・総合医療センターの統合であった。その結果,地域の小児周産期医療を担ってきた住吉市民病院が消滅したことで地域の住民には命に関わる大変な問題が起ってしまった。必用に迫られて作られた二つの病院をあまりにも安易に統合しようとして犯した失敗である。この様な大きな失敗をしておきながら大阪府知事大阪市長に反省の様子は全く認められない。安易に制度を変えればまた新たな問題が生じる。どんな場合においても制度の変更はとことん努力しても問題が解決できず,制度を変える以外に解決できないという結論に至った時にのみ許されることである。制度は積極的に変更するものではなく止むに止まれず行うものであることを肝に銘じておくべきである。