政党のあるべき姿

 大阪では大阪維新の会が都構想実現のための住民投票を行おうとしている。過去の住民投票で否決されたのであるが,最近行われた統一地方選挙大阪維新の会の候補が大阪府知事大阪市長に当選したことで勢いづいて再挑戦しようとしている。一度否決されたことを再度実現させようとすることに問題を感じないわけではないが,維新の会は大阪都にすれば具体的にどのようなメリットとデメリットがあるかを府民に示さなければならない。過去の住民投票の際にも統一地方選挙の際にも,ただ二重行政の無駄を省こうというだけで具体的にどのような問題があるかは説明されることはなかった。さらに過去3年以上同じ維新の会の松井氏と吉村氏がそれぞれ知事と市長の座を占めていたにもかかわらず,その無駄をなくす努力は全くなされなかった。彼らが本当に二重行政の解消を目指しているのか疑いたくなる。

 大阪都構想に関するもう一つの問題は前回の住民投票のあと住民投票に反対していた公明党統一地方選挙の結果を見て,都構想実現は住民の総意であるといって維新の会に歩み寄って住民投票に賛成することになったことである。住民の総意に従って政治を行うならば政治家など不要である。住民にパソコンを配っておいて政策ごとにイエスかノーの返事をインターネットで集計して役所が決定すれば済んでしまう。政党は仮に住民が反対してもその問題の重要性を訴えて住民を説得することも必要である。住民の総意を重視することは良いことのようにも思われるがポピュリズムそのもののようにも思われる。公明党住民投票に対する態度を変えた理由を説明するべきである。

 自民党大阪府議連が方針を変える報道がなされているが,大阪市議団は反対しており今後の動向を見守る必要がある。おおよそ政党であるならば内部のグループによって異なる意見を対外的に発表することが異常である。少なくとも一つの政党であるならば意見をまとめた上で外部に発表すべきである。

 政党であるからにはどのような社会を目指すかを明確に示し,他の政党が提出する政策に対してはその目標に反しないかどうかで賛成か反対かを決定すべきであって,票を稼ぐのに有利かどうかなどという浅ましい考えは捨てて欲しいものである。