ためしてガッテンで紹介された歯の磨き方

 テレビで放送される健康に関する番組は信用できないものが多いが,NHKはさすがである。「ためしてガッテン」と「チョイス」はなかなか興味あるものが多い。先日,スエーデンでの歯の磨き方が紹介されていた。スエーデンの人たちは虫歯のある人が日本人と比べて非常に少なく,その理由が歯の磨き方にあるということであった。我々はペーストを使って歯を磨いた後,口の中を水でゆすいで洗うが,スエーデン式の磨き方では歯を磨いた後,口をゆすぐことはしないそうである。歯磨きペーストに含まれるフッ素がみがいた後に歯に長時間作用するので虫歯が防がれるということであった。確かにすぐに洗い流すより長い時間作用させた方がフッ素の効果は増すことは間違いない。しかし,ペーストの成分が体内に入ることは問題である。スエーデンではどうか分からないが少なくとも日本では多くの歯磨きペーストに中性洗剤(ラウリル硫酸ナトリウム,別名SDS ドデシル硫酸ナトリウム)が含まれているからである。中性洗剤が体内に入ってしまっては大変である。少量とは言え毎日使うものであるから長期間中性洗剤を飲み込んでいると大変な事態が起こる可能性が強い。フッ素の効果は上げたいが飲みこむことは避けたい。

 誰でも考え付くことなのであえて書く必要がないとは思うが,フッ素の効果を上げて中性洗剤の害を避けるには,歯を磨いた後に口の中の液体を吐き出して20~30分間くらいそのままでいることである。その後で口をゆすげばよい。歯に作用させるときのフッ素濃度は1~2 ppm くらいが良いと言われている。高すぎても問題が起こるので1~2ppmが推奨されているが(高濃度では班状歯が生じる),短時間であれば少々高くても問題はないと思われる。歯磨きペーストのフッ素含量は1000ppm前後であるので0.5グラム程度のペーストを使って歯磨きを行ったとき唾液で10~20倍くらいは薄まり,さらに口の中に溜まった液体を吐き出した後に唾液でまた10倍くらい薄まるとすれば最終的に5~10ppm くらいの濃度になると思われる。ちょっと高い濃度であるが1日に1回20分くらいであれば問題は起こらないと思う。