小中学校への携帯電話の持ち込み問題で思うこと

 文部科学省は保護者からの要求に応えて小中学校へのスマホ・携帯電話の持ち込みを許可する方向で考えていることが報道された。保護者は災害時に児童の安否確認ために必要であると言うことである。しかし,児童が学校にいる間は学校が責任をもって保護している。保護者は学校側を信頼して任すべきである。災害時に生徒が勝手に保護者と連絡をとってバラバラな行動をとっては返って収取がつかなくなる。

 さらに携帯を持てば別な問題も生じる。生徒には学校にいる間は使用の仕方を厳しく指導すると言っているが,言われたことを生徒が100%守ると思うことが間違っている。生徒が信用できないということではない。生徒とはそんなものである。言われたことを100%守るようであればその方が恐ろしい。保護者の中には経済的な問題で携帯を持たせられない人も多いと思う。スマホや携帯を持てない生徒は仲間外れにされるかもしれない。持っている生徒間でもグループに分かれて対立が助長されるかもしれない。さらにもう一つ重要なことはすでに携帯・スマホが児童の学力向上を大きく妨げていることである。このまま放置すれば学力が大きく低下することは間違いない。今回なぜ文科省が学校へのスマホ・携帯の持ち込みを許可しようとしているか全く理解できない。文科省は許可することによってどのような問題が起こるか,十分に検討した上で結論を出して頂きたい。

 保護者の要望だからと言って簡単にそれに応じる文科省の態度を見ていると,最近起こった野田市での女子児童虐待の事件を思い出す。あの事件は教育委員会が筋を通して女児の父親に対処していたら防ぐことができたとはずである。教育委員会の犯した最大の問題は正義を放棄して保護者の無法な横槍に屈服してしまったことであった。そのために10歳の女児が尊い命を失うことになった。私もそうであるが,普通の人は楽な道・自分に利益になる道を選んでしまいがちである。難しいとは思うが公職にある人はどんな時でも正しい道を歩んでもらいたい。