平成は格差拡大の時代

 平成はあと残すところ4か月となった。30年間を振り返って感じることは平成の時代は格差拡大の時代であったと思う。私は若いころは社会主義が優れた政治体制であると信じていた。しかし,1989年(平成元年)にベルリンの壁がなくなり,それに引き続いてソ連および東欧の社会主義国が崩壊した。そして社会主義国の実際の姿を知って世界中で行われた社会主義国家建設の実験がすべて失敗だったと感じた。しかし,平成の終わり頃の2016年にアメリカではアメリカ第一主義をうたうトランプが大統領に選ばれた。彼はアメリカの友好国とも問題を引き起こし,なりふり構わずアメリカの利益を追求することによって世界中に深刻な問題を引き起こした。パリ協定の離脱,メキシコとの国境に壁の建設,人種差別,過去の脱税などとてもアメリカ大統領が務まる人物とは思えない。このような人物が選ばれたのは貧困でどうしようもなくなったpoor whiteなる人たちがなりふり構わず自分たちの利益追求のみに走った結果である。世界一裕福であると思われてきたアメリカも格差拡大によって貧困層が増えたために世界をリードする国としての品格を保てなくなってしまった。トランプがアメリカの大統領に選ばれたことは資本主義の終焉を示しているように思われてならない。

 わが日本の状態はどうかと言えば,小泉首相が行った規制緩和政策によって非正規雇用が増え始め,今では国民の3分の1以上が非正規雇用となっている。非正規雇用者の平均収入は極めて低く生活保護が必要なレベルである。購買力のない貧困層が増えれば経済も活発になるはずがない。最近,新聞で報道されているだけでも政府は住民税非課税世帯の私学下宿生に対する給付型奨学金制度,義務教育の無償化,幼児教育・保育無償化など行うことで格差拡大に対応しようとしているが,その財源は税金であり,その総税収入は貧乏人も支払う消費税が30%以上を占める。所得税法人税をもっと増やすべきである。根本的には貧困層をなくさなければならない。そのためにはほんの一部の人たちが儲け放題に儲ける現状を改めて所得の配分が適正に行なわれる世の中にしなければならない。

 平成に起こったもう一つの深刻な問題は大気中の二酸化炭素濃度の増加である。この30年間に二酸化炭素は350ppmから410ppmに増加した。このまま放置されたら数十年後には温暖化が進んで地球上に人間が住めなくなってしまうのではないかと心配になる。人類が生き延びるためには二酸化炭素増加の元になる化石燃料の使用を減らすよう総力を上げて取り組まなければならない。

 あと数か月後から始まる新しい時代は貧困層が解消し,地球環境の悪化が少しでも改善される世の中になって欲しいものである。