血中コレステロール値が高い人のほうが元気である

 前回で肉食が血中コレステロール値を上げる主要な因子ではないことを述べたが,さらに血中コレステロール値と健康に関して1997年に衝撃的な論文が発表された。現在は血中コレステロール値は220mg/dLを超えると高コレステロール血症と診断されてコレステロール合成阻害薬を飲むことになるのであるが,Weveting-Rijnsburgerらは1000人近くの老人を対象にコレステロール値190 mg 以下,190 ~ 250 mg,250 mg以上の3グループに分け8年間にわたる大規模な追跡調査を行った。その結果,下図に示すようにがんによる死亡率,感染症による死亡率,総死亡率とも血中コレステロール値の高いグループが最も低く,190 mg/dL以下のグループが最も高いという皮肉な結果が得られた。また心筋梗塞脳梗塞など虚血性疾患での死亡率は3グループ間で差は認められなかった。この結果はコレステロールが成人病の危険因子と言われていることに大きな疑問を抱かせるものである。

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