タンパク質を多く食べる人は元気である5

肉食はコレステロールを増やさないか

 肉食が免疫力増強,関節痛防止に効果があると述べてきたが,肉食の効果はこれだけではない。タンパク質が不足すれば血管そのものも老化する上に,タンパク質に含まれるアミノ酸であるアルギニンからは血管を拡張する物質である一酸化窒素(NO)が生成する。肉食は若さを保つためには必須である。どれほどの効果があるかは現代の老人と50年ほど前の老人を比べてみればよく分かる。昔は60才にもなれば大年寄りであった。この違いは医学・医療の進歩もあるが肉食(タンパク質食)の摂取量増加が最大の要因であると思われる。しかし世間では肉食が血中コレステロール値を上げると言われている。本当に肉食で血中コレステロール値が上がるだろうか。

 ヒトの体内で最も多くコレステロールを消費して作られるものは胆汁酸である。胆汁酸は界面活性剤として働き,小腸で脂肪の消化を助けるものである。1日に20~30グラムが分泌され,その大部分が腸管で再吸収されて肝臓に戻るがおよそ1グラム前後は便中に排泄される。したがって体内で吸収あるいは合成されるコレステロール量が胆汁酸として排泄される量以下であれば血中コレステロール総量の増加は防ぐことができる。 

 表3は各種食品のコレステロール含量を示したものである。1日に牛肉200グラムを食べたとしても総量は140 mg 程である。卵黄は含量が高いがその重量はせいぜい15グラム程度であるので卵1個で200mg程度である。肉200グラム,卵1個食べてもせいぜい350mgである。糖質から合成される分のほうが多いのである。脂質の脂は肉月に旨いと書くように脂を含む食品は美味しいものが多い。コレステロール値を心配して美味しいものを食べないということはもったいないことである。それより糖質を抑えることのほうが効果的である。我々の体内で蓄えられるコレステロールの主な供給源は糖質である。さらにコレステロール合成を調節している鍵酵素,HMGCoA還元酵素,はインスリンによって反応が促進されるので糖質の摂りすぎはコレステロールを増加させる最も大きな要因となる。ただし,極端に糖質を制限するとグルコースを作るために体内のタンパク質が分解されることになってしまう。食事の際は少なくとも軽く茶碗に一杯くらいのご飯に相当する糖質は摂るべきである。

 

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