タンパク質を多く食べる人は元気である3

グルタミンと関節痛

 健康であるためには病気にならないだけではなく足腰も丈夫であることも大切な要素である。年は足からくると言われるように年を取ると関節が傷みやすくなる。この関節痛も血中グルタミン濃度の低下が原因である。ヒアルロン酸は関節液の成分であるが図1に示すようにこの物はまずグルコース代謝で生じたフルクトース 6-リン酸とグルタミンとから酵素(グルタミンF6Pトランスアミナーゼ)の作用でグルコサミンリン酸が生成し,さらに数段階の反応を経て合成される。重要なことはこの酵素ヒアルロン酸合成の律速酵素であることである。この酵素の性質から細胞内の条件下ではこの酵素反応速度はグルタミン濃度が低くなれば低下するしF6P濃度が低くなっても低下する。このために食が細くなってタンパク質や炭水化物を十分に摂ることのできない老人では血中グルタミン濃度も細胞内F6P濃度も低くなりヒアルロン酸合成量が低下して関節痛が起きやすくなる。これを防ぐにはグルタミンとグルコースを供給することであり,そのためには肉,魚などから十分なタンパク質を摂ること,およびごはんパンなどデンプン質もほどほどに摂ることが必要である。

 巷ではグルコサミンがサプリメントとして用いられているが,グルコサミンは体内でグルコサミンリン酸となりヒアルロン酸合成に利用されるかもしれない。しかしタンパク質不足から関節痛が起こっているのであるから他にタンパク質不足による問題も起こっているであろうし,また骨なども弱くなっている可能性が強い。なぜなら骨はコラーゲンが主要な構成要素であるからである。当然のことながらタンパク質を十分摂ることが必要である。さらにコラーゲン合成のためにはタンパク質の摂取に加えてビタミンCを摂ることも必要である。

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