脂肪を減らすための運動は空腹時が効果的

 

 多くの人がジョギングやウオーキングを行っている。目指すところは脂肪を落とし健康な体を作ることと思われるが,脂肪の落ち方は運動を行うタイミングによって変化する。

 前回と前々回で述べたように摂食後は脂肪組織からの脂肪酸放出速度が低下し血中脂肪酸濃度低下するのでこの時に運動を行っても脂肪酸は燃えにくい。このときはグリコーゲンが使われやすい。運動を20~30分も続ければ脂肪酸も燃えることになるがグリコーゲンが使われた分だけ脂肪は減らない。さらに減ったグリコーゲンは食後には真っ先に補充されるので折角苦労して運動しても脂肪減少の効果は低くなる。しかし,摂食後に運動を行っても筋肉のグリコーゲンが減少し,その分が食事で補われることになるので脂肪合成に使われるグルコースが少なくなり効果がないわけではない。

空腹時には脂肪組織で脂肪分解酵素が活性化されて血中脂肪酸濃度が上昇し体内では脂肪酸が使われやすい状態になっている。この時に運動を行えば脂肪酸が速やかに利用されて効果的に脂肪を燃やすことができる。筋肉を鍛えるための運動ならば負荷の大きな運動を行う必要があるが,脂肪を減らすためだけならば負荷の小さな運動を長い時間行うことが効果的である。負荷が大きくなると脂肪からだけでは必要なエネルギーを供給できず,グリコーゲンも分解されて使用される。グリコーゲンが使われると筋肉に乳酸が溜まり長い時間運動を続けられなくなる。軽い運動は長い時間続けることができるので負荷の強い運動より多くのエネルギーを消費することが可能である。ダイエットのためには空腹時に軽い運動を長い時間行うことが効果的である。